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い草の香り

|桧町の家(住宅新築)|

桧町の現場定例。足場を覆っていたシートが外されました。
屋根や外壁の仕上がりを確認し、コーキングの必要な部分など細かくチェックし
指示していきます。

内部はこれから2階へ上がる階段を組んでいくところ。
床の無垢フローリングはすでに張り上がっていて、養生の下にあります。

ちょっと暗くてわかりづらいですが、和室の天井材のい草ボードも張られました。
畳の原料となる熊本産のい草をボード状にしたものです。
床には琉球畳が敷かれる予定ですが、もうすでにい草の香りがプンプンしています。

浴室(ハーフユニットバス)の桧板も張り上がってきたところです。
外のベランダの手すりがちょうど階下からの目隠しになってくれています。

まもなく足場が外される予定です。
年末の引き渡しに向けて、内部の仕上げ工事が本格化しています。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

花立峠

設計のためのリサーチで、山形市と上山市の境界付近にある敷地周辺をフィールドワーク。
このあたりは昔から「花立峠」と呼ばれていたそう。
昔の絵図にも「久保手の地蔵」というものが立っていて、そこを通る旅人が花を手向けた
ことに由来しているとか。

「花立」という地名は全国に存在していて、「一定の日に野外に花を立て、神を祭る
場所」や「境を表す言葉」、「境の神に花を手向ける」といったおおよそ同じような
意味をもっているようです。

ここを歩いて通る人はほとんどいなくなってしまっていますが、今そこに立つお地蔵さまの
前には地元の人が手向けたと思しき野の花が見られます。(一部は造花かも)

このあたりからは今も昔も蔵王連峰がとてもよく望めます。
峠をのぼってきてこの絶景を見て、つい拝みたくなる旅人の気持ちもわかります。
旅の安全祈願とともに自然への感謝が「花」にあらわれているようです。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

庄内と、水田と。

週末、ひょんなことから庄内に行くことになり、せっかくの機会なのでいま話題の
「ショウナイホテル スイデンテラス」に泊まってきました。
庄内平野の地平線を沿うようにつくられた低層のホテル群は、庄内を象徴する
水田に開かれた明快なコンセプトがそのまま具現化したような建築でした。

3棟143室あるという客室棟は木造でできていて、部屋によっては窓の外に一面
水田の風景がひろがります。手前の水面は実際に稲を植えられないため厳密に
いえば水盤ですが、その先の田んぼの風景と山並みはやはり圧巻です。
強いていえば、水盤と水田の間に走る道路は交通量こそ少ないものの車が通ったり
人が散歩していたりするので、けっこうドキドキします。

現代木造を取り入れたシンプルな空間と、紙管を使ったインテリアは設計した
建築家・坂茂氏らしさを随所に感じます。
全体的にゆったりと余裕を持った空間になっていますが、収容人数やサービスの
バランスがまだ取れていないのか、土日の混雑時にはフロントでの受付やレストラン
での朝食時などに順番待ちの列が出来ていました。そのあたりは今後すこしずつ
解消されていくのではないかと思います。

翌朝はすこぶる天気が良かったので、水盤に朝日が反射して眩しいくらい。
写真中央に見えるのが月山で、本館の軸線が大きく月山に向いているようでした。
今回、夕食は外でとったので味わうことが出来なかったのですが、今度JIA
の見学会か何かでまた訪問し、夕食や別の客室も体験してみたいと思います。

 

 

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キッチン検証

|沼木の家(住宅新築)|

今日は建て主さんご家族そろって、キッチンメーカーのショールームへ。
2世帯それぞれに天板の高さ、収納扉の色などチェックし決めていきます。

現場への期待感もますます高まります。
屋根やサッシの色も決まり、外壁の色は現場を見ながらもう少し検討していきます。
外回りが決まると、そのあと内部の方の仕上げを検討していく予定です。

 

 

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偲ぶ会

先週末はJIA東北住宅大賞の審査会が福島の飯坂温泉であり、そのまま日曜の
JIA全国大会のプレイベントであるシンポジウムの冒頭まで参加したのち山形に
戻って、先々月亡くなった師である本間利雄所長の「偲ぶ会」に参列しました。

私が独立してからも「同じ山形市内でやっているんだからたまには顔を出しなさい」
と言ってくださっていた所長のご厚意を受けて、年に一度は事務所を訪ねるように
していたのですが、今年の春に連絡した際には調子が悪いということでお会いできず
先々月の突然の訃報を聞くこととなりました。

本間所長と私はほぼ半世紀分歳が離れていましたが、本間設計に在籍していた9年間、
本当によく可愛がってもらいました。若い人と話をするのがとても好きで、私が入社
した2005年から「まんさくの会」という所長と若手所員の交流の場を所長自ら企画して
一緒に山に行ったり建物を見に行ったりしてくれたことがいまだに心に残っています。

今更ながら、生意気で不躾な所員だった私を厳しくも温かい目で見守ってくれていたことに
あまりにも大きな愛情と懐の広さを感じざるにはいられません。
私がいたのは9年間という長いようで短い間でしたが、所長には自由に好き勝手やらせて
もらったという感謝の思いしかありません。

本間利雄という稀代の建築家の功績は、その建築物の他さまざま書籍等に残っていくと
思いますが、少なからずその教えを請うた者の一人として、その存在と意志を次の世代に
語り伝え、受け継いでいかなければならないと思います。
そして同時に、本間利雄は多くの「人」も残したと言ってもらえるよう、私も良い建築を
つくっていかなければならないと気の引き締まる思いです。

私がまだ本間設計にいるときに、ちょうど出版前の所長の著書が所員に配られ
記念に一言書いてもらった時のもの。

この言葉を励みに、これからも精進していきます。

 

 

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晩秋の陽光

|桧町の家(住宅新築)|

桧町の現場は、北側の外壁工事がほぼ終了。鋼板葺きが斜めに上がります。
足場の現場シートがあって色が濃く見えますが、鋼板の色はつや消しのシルバー。

2階東面は杉板の下見板張り。こちらもほぼ張り上がりました。
この外側にベランダが周り手すりがつきます。

内部は1階の天井が張られています。一面シナベニヤで明るい感じです。

1階の広間見返し。奥のはしごが見えるところに2階への階段がつきます。
晩秋の日射しが広間に入ってくるのがわかります。

 

 

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時を待つ

|沼木の家(住宅新築)|

このところ職人不足が叫ばれてきましたが、実際に工期に影響してくるとなると
事態はかなり深刻です。お願いしようと思っていた職人さんの予定がずれ込むのは
仕方ないことですが、代わりの職人さんが見つからないことが一番の痛手です。

2020年オリンピック、消費増税前のかけ込み需要、年間三隣亡など、、要因は
いくつかあるものの、いま現在どの施工者さんに聞いても大工さんが仕事がありすぎて
つかまらないという話。

沼木の現場も、木造建て方を前に大工さんがつかまらない状況。無理言って職人さんの
数だけかき集めることは出来るかもしれませんが、施工精度やその後の手戻りを考えると
信頼できる大工さんに適正な工期でしっかりお願いした方が良いと苦渋の判断。
元々お願いしようとしていた大工さんが前の現場が終わるのを待って建て方をすることに
なりました。

建て主さんには本当に申し訳ない限りですが、少しでも早くリスタートできるよう
進められるところは進めるとともに、現場はきちんと養生しその時を待ちます。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

「話題のショップをつくる 注目の空間デザイナー・建築家100人の仕事」に掲載されました

書籍「話題のショップをつくる 注目の空間デザイナー・建築家100人の仕事」
(11月12日発売)に、事務所の仕事が掲載されています。

いま人気のサードウェーブコーヒー店やリノベーションホテル、泊まれる本屋など
行ってみたくなる魅力的な空間と、それを手がける全国の100人の空間デザイナー・
建築家が紹介されている一冊です。

私の事務所からは、「山形座 瀧波」「& SLOW LIVING」「kanmi」「月山山麓の
ワイナリーショップ」を取り上げていただきました。

全国の書店のほか、ネットショップ等でもお買い求めいただけます。
http://pie.co.jp/search/detail.php?ID=5088

新しい時代のショップや場所づくりを目指される方にもオススメです。
ぜひご覧ください。

 

 

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外壁貼り

|桧町の家(住宅新築)|

桧町の新築現場は、いよいよ外壁工事に入りました。
南・東面はスギの下見板張り。「桜小路の家」以来久しぶりの登場です。
保護塗料のウッドロングエコを先に塗ってからの施工です。

北面には屋根と同色のガルバリウム鋼板を横葺きで。
南北でまったく表情が変わります。

内部は天井の厚い断熱材と気密シートが入り、これから仕上げのシナベニヤが
張られる予定です。
リビング南面は樹脂サッシで開口部をたっぷりとっています。

玄関の断熱ドアを開けたところ。
鋼管の列柱がアプローチと駐車スペースを区切る役割となります。
軒が深いので雨雪を避けて家と車の間を行き来できる雪国向けのつくりです。

 

 

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風穴

|上町の家(住宅新築)|

基本設計がまとまり、これから実施設計に入る「(仮称)上町の家」。
建物形状は全体としてみると切妻屋根のシンプルなものになりますが、
光や風を取り込むように、建物に中庭やテラスといった外部空間が埋め込まれた
かたちとなっています。

プライバシー性は確保しつつも、周囲の自然や庭とつながり、風が通り抜ける家。
開口部の位置や形状はまだまだ検討の余地がありそうです。
暮らしやすい家となるよう、引き続き設計を煮詰めていきます。

 

 

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