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七日町と御殿堰

|御殿堰デザイン改修|

昨年竣工した十一屋本店とオワゾブルー山形の間を流れる御殿堰整備事業がこのほど
完成し、その完成記念セレモニーに参列してきました。

「御殿堰」は400年前から山形に残る農業用水路「山形五堰」の一つで、中心街を
流れ山形城のお堀に流れ込むことからその名が付いています。

昨年までこの区間の御殿堰はコンクリートの蓋がかけられ暗渠となっていましたが、
上流部に合わせるように石積み水路として開渠化しました。

上流部よりも歩道と水路底の高低差があるため、手すりや柵で堰の景観が崩れることが
ないように石段による段差解消を丁寧に行ない、街なかのせせらぎがなるべく身近に
なるようにデザインしています。

十一屋もそうですが、堰沿いの歩道もまだ植栽が植えられたばかりで、まだまだ
出来たての不自然さが否めませんが、季節が巡り、少しずつ周りの緑も育ってくれば
きっと水と緑の潤いを感じる親水空間になっていくはずです。

14年前の「水の町屋七日町御殿堰」に携わってから幾年月、今回はデザイン監修として
再び御殿堰整備にかかわらせていただきましたが、振り返れば「ウオーターセブン」
などの活動を七日町界隈で行なうようになってからもう20年近く経とうとしています。
その間の街の変化を思い返すと、しみじみ胸に来るものがありました。

七日町周辺はこれから益々変化の動きが起きてきそうです。心新たに、事務所でも
まちの居場所づくりの一助になっていければと誓うばかりです。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

塗り壁と住まい

|桜神の家|

中桜田の現場は、内部の左官工事や塗装工事が進んでいます。
リビングまわりには左官壁にしています。

家具工事も着々と。
左官壁はまだ下塗り段階ですが、表情が出てきて一気に住まいらしくなってきました。

外も着々と、駐車スペースのコンクリートを打設中。
土の色をした外壁もよく馴染んでいます。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

鍵盤のように連なる梁

|ピアノの蔵|

床や吹き抜けの養生がとれて、ピアノ教室の全容が見えてきました。
元々押入だった場所までフローリングが敷き詰められ、ピアノ2台置いても広々
使えそうです。防音を考えてインナーサッシを入れた開口部も無事納まりました。

新たにつくられた出入口部分を見たところ。これから障子戸も入ります。
ガラスの先には、格子越しに既存の坪庭が望めます。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

「Kappo特別編集『山形』」に掲載されました(OSTERIA SINCERITA、森の家)

雑誌「Kappo特別編集『山形』」(2024年3月25日発売)に、「OSTERIA SINCERITA」と
「森の家」が紹介されています。

Kappo編集部が山形の食をテーマに、本を1冊つくったということで、まず「山形の名店」
という特集の中で、「OSTERIA SINCERITA」が取り上げていただいています。
フレンチ、イタリアン、日本料理、郷土料理など、県内各地の様々なジャンルの名店の
一つとして選ばれており、先日の「ゴ・エ・ミヨ」とも通じる部分もあり、ますます
山形の食の豊かさがわかる内容になっています。

またその食を支える「生産者は語る」のページには、「森の家」が掲載されています。
巻頭のインタビューで吉村知事やアル・ケッチャーノの奥田シェフが熱く語っていますが、
日本で一番四季がハッキリしている山形だからこその作物の豊かさと充実具合は、
建築にも同じことが言えるのではと非常に共感を覚えたところです。

全国の書店のほか、ネットでもお買い求めいただけます。ぜひご覧ください。

Kappo特別編集『山形』 | BOOKS | Kappo(仙台闊歩) (machico.mu)

 

 

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「ゴ・エ・ミヨ2024」に掲載されました(OSTERIA SINCERITA)

レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ2024年版」(2024年3月20日発売)に、
赤湯のオーベルジュ「Stanza della SINCERITA」が掲載されています。

ミシュランと並び世界的美食ガイドとして知られるゴ・エ・ミヨは、現在世界15ヵ国にて
刊行・展開していて、単なる評価本ではなくその国の食文化を掘り下げ、その土地の持つ
地域性(テロワール)に注目することで食の「今」を伝えています。

日本では2017年にはじめて刊行され、東北地方が初掲載された2023年版に続き、
今年は日本全国532軒の「今、行くべき店」を紹介しています。

昨年は「山形座 瀧波」のダイニング「1/365」で掲載されましたが、今回は原田誠シェフが
瀧波の別館として昨年新たにオープンしたオーベルジュ「OSTERIA SINCERITA」の
レストラン「Stanza della SINCERITA」として掲載されています。

山形県内からは他に7軒のレストランが掲載されていて東北でも最多。今年の
「テロワール賞」を受賞した西川町の出羽屋さんをはじめ、どこも行きたくなるお店ばかり。

全国の書店のほか、ネットショップ等でもお買い求めいただけます。

Gault&Millau (gaultmillau.com)

ぜひご覧ください。

 

 

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<お知らせ>オープンハウスを開催します(市中/山居)

山形市にて改修工事をすすめていた「市中/山居」の完成にあわせ、完成内覧会を開催します。
敷地は山形市七日町というビルに囲まれた立地の中、昔からの庭木や蔵が残された貴重な
街なかの自然を享受できる場所です。

時間指定の事前申込制となります。リノベーションや建築に興味のある方(建築関係者・
学生も可)はお気軽にお申し込みください。

[市中/山居 オープンハウス]
日時:2024年3月30日(土)10時~17時、3月31日(日) 10時〜16時
場所:山形県山形市七日町(詳しい場所は申込時にご案内します)
(駐車場は限りがあるためなるべく乗り合いでお越しください)
申込方法:メールにて、住所、氏名、参加人数、希望日時、連絡先(電話)を明記の上、
info@takashiinoue.comまでお申し込み下さい。
申込期限:前日まで
備考:・見学時間は一組およそ30分〜1時間ほどを予定
(同時間帯に二組が重なる場合あり)
・見学時には備え付けの手袋(使い回しはしません)やスリッパを着用していただきます
・敷地内での飲食、喫煙、トイレ等の使用は不可とします
・参加者への営業等はありませんので、お気軽にお越しください

主催・設計監理:株式会社井上貴詞建築設計事務所
施工:株式会社ゆとり・祥建設

お問い合わせ:株式会社井上貴詞建築設計事務所
山形県山形市小姓町1-37-2F
tel 023-665-4865
http://takashiinoue.com/
info@takashiinoue.com

 

現地から歩いてすぐの十一屋本店脇の御殿堰の工事も今月27日に完成を迎え、31日に
は完成記念イベントとして十一屋やオワゾブルーでマルシェやミニコンサートなどが
行なわれるようです。
七日町第6ブロック北御殿堰整備事業 完成記念イベント|七日町商店街|山形市 (nanokamachi.com)

年度末のお忙しい時期とは思いますが、新しい御殿堰の流れを見がてら、
ぜひ七日町に足をお運びください。

 

 

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無駄のある家

東京での展示撤収のため再度上京したので、前から行ってみたいと思っていた「武相荘」
に行ってきました。云わずと知れた白洲次郎・正子旧宅です。

昨年ヒュッテ・ヤレン(旧白洲次郎蔵王別荘)の改修に携わっていたので、本宅は一体
どんなお住まいなのだろうかとアレコレ想像力を働かせていましたが、実際に訪れて、
想像以上に自然で、肩肘張らない(それでいて一つ一つが吟味された)空間でした。

旧宅内はおおよそ当時の形をとどめ、いくばくかの白洲夫妻の資料が展示されている
のですが、その中で白洲正子さんが書いたエッセイ集の一節が壁に掛けられていて、
「無駄のある家」と題されたその文章に、思いがけず心を打ち抜かれてしまいました。

以下、その文章のご紹介です。

”鶴川の家を買ったのは、昭和十五年で、移ったのは戦争がはじまって直ぐのことで
あった。別に疎開の意味はなく、かねてから静かな農村、それも東京からあまり遠く
ない所に住みたいと思っていた。現在は町田市になっているが、当時は鶴川村といい、
この辺に(少なくともその頃は)ざらにあった極くふつうの農家である。手放すくらい
だからひどく荒れており、それから三十年かけて、少しずつ直し、今もまだ直しつづ
けている。


もともと住居はそうしたものなので、これでいい、と満足するときはない。綿密な計画
を立てて、設計してみた所で、住んでみれば何かと不自由なことが出て来る。さりとて
あまり便利に、ぬけ目なく作りすぎても、人間が建築に左右されることになり、生まれ
つきだらしのない私は、そういう窮屈な生活が嫌いなのである。俗にいわれるように、
田の字に作ってある農家は、その点都合がいい。いくらでも自由がきくし、いじくり
廻せる。ひと口にいえば、自然の野山のように、無駄が多いのである。

牛が住んでいた土間を、洋間に直して、居間兼応接間にした。床の間のある座敷が
寝室に、隠居部屋が私の書斎に、蚕室が子供部屋に変った。子供達も大人になり、
それぞれ家庭を持ったので、今では週末に来て、泊る部屋になっている。あくまでも、
それは今この瞬間のことで、明日はまたどうなるかわからない。そういうものが家で
あり、人間であり、人間の生活であるからだが、原始的な農家は、私の気ままな暮らし
を許してくれる。三十年近くの間、よく堪えてくれたと有がたく思っている。”
(白洲正子「思うこと」『縁あって』より)

この言葉に出会っただけでも、武相荘に行った甲斐がありました。
自然の野山のように、人の暮らしを許容する、そんな住まいをつくっていきたいと
あらためて感じました。

 

 

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高畠石のアプローチ路

|千歳山街道の家|

先週引き渡しがありすでに入居されている「千歳山街道の家」ですが、外回りの工事は
これから始まります。門塀から玄関までのアプローチ部分には、高畠石とみられる
凝灰岩の石を敷き詰める予定です。

元々この場所に建っていた住宅の門塀や玄関廻りの石張り壁に使われていたものを、
解体工事の際に採集して部材再利用(スポリア)しています。

帝国ホテルに使われて有名になった栃木県の大谷石にも似ていますが、高畠町の
高畠石のようにも見えます。黄色みのある凝灰岩で、無数の気泡があるのが特徴です。
実際に敷き並べる前に、一通り試しに並べているところです。

 

 

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33人展

東京ビッグサイトでの展示、12日から始まっています。
毎日の来場者数も発表されるようで、大勢の方に来ていただいているようです。
日経メッセ 街づくり・店づくり総合展 2024年 来場者数 | NIKKEI MESSE 街づくり・店づくり総合展

私が出展しているJCD主催「注目される空間デザイナー33人展/U45」では、全国から
33名の空間デザイナーがそれぞれ模型やパネル等で自らのプロジェクトや作品事例を
展示しています。私の展示スペースは人通りの多い、展示台の最も先端部分です。

こちらはまだ設営中の写真。うちからは「hana cafe」の模型(1/30,1/100)やパネルを
運び込みました。事務所のパンフレットもそれなりに持っていったのですが、展示
1日目にしてあっという間になくなりそうな勢いです。

とても貴重な機会をいただいております。

 

 

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通り庭と高窓

|肴町の家 Ⅰ・Ⅱ|

短冊状の敷地奥に建っていた元米菓工場。
天井が高く、南北両側にハイサイドライトが設けられているので、日中は照明がなくても
けっこう明るい感じがします。

建物自体はなくなってしまいますが、こうした光の採り入れ方や通り土間のような
敷地への立ち方など、いくつかの要素はうまく継いでいきたいと思います。

 

 

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