2025.03.18
第45回東北建築賞作品賞を受賞しました(NIPPONIA白鷹 源内邸)
日本建築学会東北支部が主催する第45回東北建築賞において、「NIPPONIA白鷹 源内邸」
が作品賞を受賞しました。
東北建築賞は、東北地方においてその建築文化や環境形成の向上に貢献し、地球環境
時代に相応しい優れた建築作品や研究活動、その他建築分野の重要な業績を顕彰する
ことにより東北地方における建築水準の発展に寄与し、学会と地域社会の交流を図る
ことを目的としており、1980年の第1回にはじまり2024年で第45回を数えます。
学会に所属する建築系大学の先生方を中心とした10名を超える選考委員による講評を
以下に抜粋します。
NIPPONIA 白鷹 源内邸は、既存の歴史的建造物をホテルにリノベーションした意欲作
です。旧所有者の奥山家は、宝暦年間の初代高橋源内からはじまる豪農で、功績碑が
建立されるほど地域の発展に尽力しました。源内邸は、約8000平米の広大な敷地内に
明治中期から大正初期頃に建てられた複数の建物で構成され、庭木や竹林、池や石畳
など、当時の豪農の屋敷構えを遺しています。主屋、書斎、土蔵4棟の歴史的建造物を
含む計7棟を改修し、8つの客室とダイニングに用途を変更しています。改修は、便所
・風呂等の水回りや消火設備等の新設、内壁の美装化など極めて限定的で、屋根や外
壁は補修とするなど、建物本来の魅力を最大限に活かすよう工夫しています。外構に
は、白鷹町で明治期以降流通した凝灰岩の高畠石を多用して農村景観を積極的に整備
し、客室に開口部を設けて竹林を望む等、周囲の景観を空間に取り込む演出も際立ち
ます。改修時の地域住民との連携や協働は、源内の地域貢献とも合致し、地域史の
継承にも寄与しています。歴史的建造物と地域固有の農村景観を踏まえた独自の滞在
空間の創造が高く評価され、東北建築賞作品賞に推薦されました。
古民家を一棟貸しのゲストハウスや民宿にする例や、昔から古民家で営業している
旅館などはあるものの、文化財でもないただの住宅だった古民家をホテルに用途変更
して民間事業として運営していくというのは、色んな面でチャレンジングな取り組み
だと思いますが、そうした意志をしっかり汲んでいただき評価につながったのが
とても嬉しく思います。運営をおこなう(株)ukitamの皆さんや施工を手がけた那須建設
の皆さん共々、喜ばしい春のニュースとなりました。
東北建築賞についての詳細はこちら
第45回東北建築賞表彰式と2025年度 第46回東北建築賞募集について – 日本建築学会東北支部
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