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心の鏡

昨日、羽黒山・出羽三山神社の鏡池の清掃活動に初めて参加させていただきました。
NIPPONIA白鷹 源内邸でお世話になったとみひろの冨田さんからのご案内もあり、
自然と導かれるように鶴岡まで行ってきました。

羽黒山の出羽三山神社は以前も訪れたことがあったのですが、その時はこの本殿前に
ある「鏡池」の存在にはまったく気づきもしませんでした。
(本殿の立派な茅葺きの方にばかり気を取られていたかもしれません、、)

今回この清掃活動のおかげで、私もこの鏡池こそが羽黒山のご神体であり、山頂に
ありながらも古来より水が涸れることのない神秘の泉だということを学ぶこと
ができました。

この鏡池は、30年ほど前からコウホネと呼ばれる水草の繁殖や長年の枯れ葉等の
堆積物によって池全体が植物類で覆われてしまったといいます。

そこで5年ほど前から、東の奥参り推進協議会や山形掃除に学ぶ会が中心になり
神社の了解を頂きながら毎年清掃活動を行ない、少しずつ綺麗にしているようです。

当日は前もって池の水を半分ほどポンプアップして抜いておき、過去手を付けられ
なかったエリアを中心に、早朝から40人ほどの参加者が集まって拡販に分かれ、
池に入って作業する班(私も)は皆胴長を履いて水に腰まで浸かりながら、ひたすら
人力で草を刈りその茎や根を除去していきます。

通常は立ち入りを禁じられているご神体そのものに足を踏み入れるわけなので、作業前
には参加者全員が本殿で正式参拝にてお祓いをしっかりとしていただきます。
池に入って水草類を除去していく班、その除去物を運搬し軽トラに積み込む班、
それを近くの場所まで運び捨てる班、それ以外に池周辺を清掃する班と、それぞれが
黙々と作業を行なった結果、午前中だけでも池の水面の範囲が広がった気がします。

1枚目(南面から)と2枚目(東面から)の写真は作業直後の池の様子ですが、撮る角度・方位
によってもだいぶ印象が違います。ネットで見られるような植物が繁茂している過去の
状況と比べると水が半分抜かれた状態でも水面がきちんと見られるようになり、うっすら
本殿も水面に反射して映っているのがわかります。

おそらくもっと昔は、水も相当澄み、周りの木々も小さく、池の水面が本当の鏡の
ような姿で、季節や見る位置によっても様々変化していく神秘の存在だったのが想像できます。
また数日後、元の水位まで戻ったときにはもっと綺麗に見えるはずです。
羽黒山に行く機会のある方は、三神合祭殿前のこの鏡池をぜひ注視してみてください。

ちなみに、早朝からの集合・作業だったので、前日の夕方に羽黒山入りして、
冨田さんはじめ数名の方と、出羽三山神社に隣接する参籠所「斎館」に宿泊させて
いただきました。こちらも以前からずっと気になっていた場所です。

元は華蔵院という羽黒山の由緒ある寺院で、明治の廃仏毀釈の際にも取り壊されず
貴重な遺構として現在まで残り、使われています。

いわゆるサービスの行き届いた宿泊施設とは異なりますが、羽黒山の巨木に囲まれた
聖域ならではの静けさや朝晩の空気の清らかさは他では得がたく、またこの空間で
頂く精進料理は、周囲の山麓で採れる山菜やキノコを中心にした滋味に富むもので、
心身共に養生させていただきました。

 

 

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