2024.09.18
worksを更新しました(桜桃林の家)
昨年竣工した「桜桃林の家」について、ウェブサイトのworksを更新しました。
河北町のさくらんぼ畑に囲まれた新築住宅です。
敷地から歩いてすぐのところに流れる寒河江川。
春になると堤防沿いの桜並木が一面に咲き乱れて「桜堤」となり、天気の良い日は
残雪の月山と葉山を拝める屈指のロケーションです。
山形県内でもさくらんぼの生産量がトップクラスの東根市や寒河江市に挟まれた河北町でも、
そこかしこにさくらんぼ畑を見ることができます。
敷地は元々、建て主さんのご実家で育てていたさくらんぼの木が植わっていた場所。
隣地もさくらんぼ畑で囲われている環境です。
さくらんぼ畑と水田が重なるような風景も、このあたりならではです。
商品として出荷されるさくらんぼの木には、雨等で実が傷まないようにビニールが
かけられて大事に守られています。
カラスなどの鳥にさくらんぼの実を食べられないように、鳥除けのカイト鷹が
隣地で悠々と舞っています。
外壁は水に強いといわれる屋久島地杉の板材を縦張りにしています。
無塗装なので、少しずつ退色して自然とグレーになっていきます。
穂積繊維工業さんの麻緞通の玄関マットがお出迎え。
それより先に飼い猫が駆け寄ってきてくれます。
五角形の建物の1階は、中央の寝室をぐるりと囲むように回廊がまわります。
階段奥の窓から光が射し込んできます。
1階主寝室の外には、五角形の角が掘り込まれた半屋外のテラスがあります。
寝室から出入りできるそのテラスからは隣地のさくらんぼ畑が臨めます。
内部の壁は漆喰調のクロスですが、五角形の建物の中は隣り合う壁の角度が少しずつ
変わっていくので、光の受け方で面ごとに違う色に見えます。
1階を巡る回廊はその所々でランドリールームやクローゼットと機能を帯び、
最奥では洗面脱衣となり浴室に至ります。
猫に誘われるように2階のメインフロアへ。
光に向かって進んでいきます。
周囲に開かれた2階の広間。
東南方向の2面の窓からは、眼下のさくらんぼ畑越しに遠くの山々まで見渡せます。
キッチンとの間には本を立てかけて飾れる小さな本棚をつくっています。
置かれる本の表紙の色味が、空間に彩りを加えます。
ダイニングの外には、山形市から天童、東根に及ぶ東の山々が連なります。
窓辺には造り付けのベンチと、カウンターデスク。
近くに高い建物がないので、遮るものなく山の方に視線が通り抜けます。
刻々と変わる天候や四季をその都度感じ取ることができそうです。
眼下にはちょうど収穫時期を迎えたさくらんぼの木たち。
紅い実が緑に映えます。
さくらんぼ畑から見上げた建物の様子。
半屋外のテラスは自家畑の作業中の休憩場所としても使われます。
紅い宝石とも呼ばれるさくらんぼ。
とても艶があって輝いて見えます。
同じ外壁材でも、張られる方角や位置によって、風雨のあたり方が全然変わってきます。
屋根の直下よりもやはり足元まわりの方が退色のスピードは速いです。
下から徐々に徐々に灰色になっていきます。
水鏡に空が写って、一層青く見えます。
敷地のそばには水田も広がっています。
夕方の寒河江川。散策したり走ったりするには最高の場所です。
川の向こうに、寒河江市の街並みも見ることができます。
まわりは畑が広がる場所なので、少し離れた場所から建物を振り返ると、
さくらんぼ畑の中に浮かぶ楼閣のようです。
室内の灯りは最低限に。人工の灯りが少ないことで、夜の睡眠に向けて
自然と身体を休めるように落ち着いた場所となります。
執筆活動を行なうご主人の書斎は、本棚に覆われていますが、その一角の窓から
ちょうど月山の姿が確認できます。
外の夕景も、屏風絵のようにパノラマに広がります。
マジックアワーが近づいています。
ご夫妻で並んでも十分に余裕があるカウンターデスク。
窓辺は猫のお気に入りの場所でもあります。
敷地にはまだ余裕があり、今後Ⅱ期工事や植栽工事も進んでくると、また場所の雰囲気も
がらっと変わってきそうです。
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