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湯守の家

|新丁の家(古民家リノベーション)|

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今から350年ほど前のこと、上山の城下町の北端に新丁という町がひらかれました。

それからほどなく、新丁の賑わいのために共同浴場がつくられました。

湯守に命じられたのは藤次郎。

藤次郎は温泉の傍に屋敷をかまえ、浴場の掃除役をつとめました。

 

その後藤次郎の婿から五右衛門へ、さらに又八・半内の手へと屋敷は引き渡されることに。

それから300年、又八の名で家がつづいてきました。

江戸末期にはこの新丁の湯を利用して、大木又八旅館がはじまったとされます。

 

明治の初めに、下大湯の残湯を使って新丁下の湯ができ、元の新丁湯は上の湯となりました。

新丁上の湯は昭和40年代半ばまで町の公衆浴場として使われていましたが、その後廃止。

大木旅館は昭和50年代半ばで営業していたという話です。

 

新丁に今も残る旅館と座敷蔵の建物は、江戸末期頃のものといわれています。

この築150年といわれる建築に、心ある住まい手により今あらたな息吹が吹き込まれます。

事務所にとっては「森の家」につづく、新たな古民家リノベーション。

街中に建つ古旅館がどう生まれ変わるか。300年、150年の歴史にも敬意を払いつつ、

街にとっても失われた価値を取り戻したいと思います。

 

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