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道を辿れば

|東根道の家|

東根市で設計を進めている新築住宅の敷地周りをフィールドワーク。
住宅が建つ敷地周辺は今では箱形の住宅が立ち並ぶ現代的な住宅街になっていますが、
前面道路を少し辿れば、昔の作場道を感じさせる風景が残ってもいます。

江戸時代以前はこのあたりは松林の原野だったそうですが、新町として開拓され
神町と名をあらため、明治以降は果樹畑が広がるようになり、明治30年頃の
古い地図では、果樹畑の中を東根城址方面へ抜けていく作場道があるだけの
長閑な場所であったことがわかります。

字名にだけ残る「東根道」という地名はおそらくこの作場道のことだったのでは
ないかと勝手に推測しています。今では舗装され住宅が建ち並ぶこの道沿いを歩いて
いると、近くの若木山とさくらんぼ畑の景色を同時に眺められるちょっとした場所にも
出くわします。

作場道を辿ると、住宅に囲まれてひっそりと佇む小高い丘もまた明治以前から
この地に残る数少ない生き字引だと気がつきます。

丘の上には、大日尊神社が祀られ、宅地化が進み住宅が多くなった神町を静かに
見守っているようでした。

もう少し南に歩けば、若木山の麓にたどり着きます。
若木神社を参拝していると、どこからともなくキジの啼く声が。

若木山は日常的に散策したり運動も兼ねて山頂をめざすのも比較的易しい里山
のようで、敷地からはかろうじてその姿は見えないものの、存在が身近にあるだけで
貴重な自然だと思います。

 

 

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