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松葉

|二子沢の家|

住宅改修の設計打ち合わせで、建て主さんの家にお邪魔しました。
仏壇の置かれた上段の間の、床の間を覗くと、天井に変わった形の部材が。

大の字を引き延ばしたような、Vの字にくさびを打ったような、不思議な形ですが、
これは「松の葉」をモチーフにした竿縁(天井材を支えるための部材)と思われます。

常緑樹である松は、強い生命力をイメージさせ古来より縁起物として扱われ、
松の葉には、落ち葉になっても二本の葉の元がしっかりと繋がり、離れ離れにならない
という意味から、夫婦円満など縁起が良く、着物の柄や文様などに使われます。

建築でも建具の組子など意匠上でたまに松の葉のモチーフを見かけることはありますが、
ここまで大胆かつさりげない使用例は初めてです。

また、天井板同士を重ねたときに隅に見られる小さな三角形の隙間のことも「松葉」と
呼ぶみたいですが、重ねるときに使う木片の形から「イナゴ」とも呼ばれていたようです。

よくよく見ていくと、上段の間や茶の間の竿縁天井も「イナゴ天井」になっていて、
小さな「松葉」が見受けられます。

築30年ほど経つ住宅ですが、程度も良く残されている部材も多いので、縁起物という
観点も踏まえるとなおさら大事に活かしつつ改修設計を考えたいと思います。

 

 

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