月日坊（志鎌康平写真スタジオ）

yamagata , 2023

月山を見晴らす山形市東部、かつて信仰の山だった瀧山の麓に建つ写真スタジオ。この地区で採集された蔵王石（噴火の名残）の数々が、敷地内に磐座のように置かれています。敷地北に隣接する月山神社とその参道に影が落ちないように、建物を真南に正対させることで敷地内に余白をつくり出しています。また円弧を描く屋根付きの回廊が塀代わりとなり、前面道路から守られることで、スタジオ内の抽象性が高まります。スタジオには東西南北の各開口から様々な角度から自然の光が入り込み、一年／一日を通じてその角度も刻々と変化していきます。この光の現在を、建て主の志鎌康平さんは持ち前の技術と感覚を駆使して活かしながら「写真」にうつします。ここは撮影スタジオであり、時には写真学校にもなり、志鎌さんが全国を飛び回る中で出会った素敵なつくり手を紹介する場にもなり、かつて北隣の月山神社（古くは月山堂）が集落の講の集いで使われていたような、現代の新たなコミュニティの場になっていきます。
→月日坊