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桜桃林の宴

昨年竣工した住宅の建て主さんからお誘いを受け、新緑を愛でながら美味しい料理を
ご馳走になってきました。近くの桜堤や隣の桜桃林の花の時期はあっという間に過ぎ、
春から夏に一気に進んでいきそうです。

設計を生業にしていて良かったと思う瞬間は様々ありますが、こうして竣工後に設計した
住宅に呼んでもらって一緒に食事をいただくことが、自分にとっては何より嬉しい瞬間です。
(だいぶ前ですが、竣工写真撮影で訪れた住宅で、娘さんたちと一緒に夕飯のカレーを
いただいたことも良い思い出です)

午後の早い時間からお邪魔して、外に出るとすっかり日も暮れていました。
貴重な休日にお招きいただき、ありがとうございました。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

晴る

この冬は、思った以上に雪が少なかったものの、3月に何度かそれを取り戻そうとするかの
ような雪が降ったり寒い日がつづいたりして、まだ春は先かなと思っていましたが、
ふと見上げると満開の櫻が咲いているではありませんか。気づけば、もうとっくに春です。

地中でうごめいていたものが、一気に動きだす季節となりました。

 

 

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光を知る

志鎌康平さんの写真スタジオ「月日坊」が竣工から一年経ち、施工を担当した加藤建築
さんと一緒に一年後検査に行ってきました。

普段の撮影や「カメラ小屋」などのイベントなど、スタジオとしての利用もだいぶ
馴染んできたようですが、スタジオ中央に鎮座するキッチンが想像以上に稼働率が高く
(志鎌さんが料理好きということもありますが)、とても腰が据わってきた感じがします。

一年を通じた太陽の動きと、それに伴うスタジオへの光の射し込み具合も、だんだん
掴めてきたのではないかと思います。そうしたここならではの光を、志鎌さんが
うまく活かしながら、被写体の「今」を写し取る場所として機能しています。

この月日坊で、志鎌さんが講師になって「写真のがっこう」をはじめるようです。
月日坊(@tsuki_hibow) • Instagram写真と動画

光を知り、人を知り、そして自分を知る。
そんな貴重な機会、ご興味ある方はぜひどうぞ。

 

 

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無駄のある家

東京での展示撤収のため再度上京したので、前から行ってみたいと思っていた「武相荘」
に行ってきました。云わずと知れた白洲次郎・正子旧宅です。

昨年ヒュッテ・ヤレン(旧白洲次郎蔵王別荘)の改修に携わっていたので、本宅は一体
どんなお住まいなのだろうかとアレコレ想像力を働かせていましたが、実際に訪れて、
想像以上に自然で、肩肘張らない(それでいて一つ一つが吟味された)空間でした。

旧宅内はおおよそ当時の形をとどめ、いくばくかの白洲夫妻の資料が展示されている
のですが、その中で白洲正子さんが書いたエッセイ集の一節が壁に掛けられていて、
「無駄のある家」と題されたその文章に、思いがけず心を打ち抜かれてしまいました。

以下、その文章のご紹介です。

”鶴川の家を買ったのは、昭和十五年で、移ったのは戦争がはじまって直ぐのことで
あった。別に疎開の意味はなく、かねてから静かな農村、それも東京からあまり遠く
ない所に住みたいと思っていた。現在は町田市になっているが、当時は鶴川村といい、
この辺に(少なくともその頃は)ざらにあった極くふつうの農家である。手放すくらい
だからひどく荒れており、それから三十年かけて、少しずつ直し、今もまだ直しつづ
けている。


もともと住居はそうしたものなので、これでいい、と満足するときはない。綿密な計画
を立てて、設計してみた所で、住んでみれば何かと不自由なことが出て来る。さりとて
あまり便利に、ぬけ目なく作りすぎても、人間が建築に左右されることになり、生まれ
つきだらしのない私は、そういう窮屈な生活が嫌いなのである。俗にいわれるように、
田の字に作ってある農家は、その点都合がいい。いくらでも自由がきくし、いじくり
廻せる。ひと口にいえば、自然の野山のように、無駄が多いのである。

牛が住んでいた土間を、洋間に直して、居間兼応接間にした。床の間のある座敷が
寝室に、隠居部屋が私の書斎に、蚕室が子供部屋に変った。子供達も大人になり、
それぞれ家庭を持ったので、今では週末に来て、泊る部屋になっている。あくまでも、
それは今この瞬間のことで、明日はまたどうなるかわからない。そういうものが家で
あり、人間であり、人間の生活であるからだが、原始的な農家は、私の気ままな暮らし
を許してくれる。三十年近くの間、よく堪えてくれたと有がたく思っている。”
(白洲正子「思うこと」『縁あって』より)

この言葉に出会っただけでも、武相荘に行った甲斐がありました。
自然の野山のように、人の暮らしを許容する、そんな住まいをつくっていきたいと
あらためて感じました。

 

 

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JIA巡回建築展in山形の御礼

先週22日(木)からの5日間、JIA(日本建築家協会)東北支部山形地域会による巡回建築展を
山形市中央公民館ギャラリーにて無事開催することができました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございます。
80枚におよぶパネルはそれはそれで圧巻の景色でしたが、少し物足りない感じもあったので、
途中でうちの事務所からいくつか建築模型(1/50スケール)を運んで置かせてもらいました。

基本的に無人の受付だったので、正確な来場者数は把握できていませんが、芳名帳から
察するに200名くらいの方が来られていたのではないかと思います。

最終日、模型は早めに撤収したのですが、終了間際に再訪された方から、あの模型は
どこに行ったら見られるの?とお声がけいただき、模型への関心の高さが窺えました。

ギャラリー脇では、リニューアルしたばかりの学習スペースで高校生たちが熱心に
勉強に励んでいるようすが見られ、常に近くに人の存在を感じられる貴重な展示の
機会となりました。これだけの展示ボリュームを準備するのもなかなかの作業ですが、
ぜひまた何かの折に利用できればと考えています。

 

 

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飛龍乗雲

毎年恒例、新年のご祈祷に今年もスタッフ全員で行ってきました。
雪のほとんどない、青空の里之宮 湯殿山神社です。

心新たに、飛躍の年にしていきたいです。
皆さまにとっても、幸多き一年となることを願っております。

 

 

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たつ年

明けましておめでとうございます。
本年も皆様にとってより良い一年となりますようお祈りしております。
事務所は今日から、仕事始めとなります。

今年は「辰年」。
瀧山(竜山)の麓に市街地が広がる山形市にとっては縁起の良い年といえます。
「辰」は「建つ」「立つ」に通じ、万物を建て生ずるイメージに繋がります。
また古くは「ふるう、ととのう」を意味する「振」でもあり、陽気が動いて
万物が振動し、草木もよく成長して形が整った状態を表わすともされたようです。

事務所は今年で創立10周年を迎えます。
この10年で得られた数多くの恩恵に感謝しながら、また培った技術や経験、
繋がった人の御縁、そういった積み重ねもさらに活かしつつ、これまで以上に
精力的に力を振るっていきたいと思います。
本年も事務所のスタッフ一同、どうぞよろしくお願い致します。

 

 

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2023

今年も今日で仕事納めとなります。
今年は一昨年、昨年から続いてきたプロジェクトが完成を迎えるものも多く、なかなか
大変でしたが充実した一年となりました。

今年竣工したものを順に挙げると、
「座頭町通の家」(米沢市)、「月日坊(志鎌康平写真スタジオ)」(山形市)、
Osteria Sincerita」(南陽市)、「山形市立図書館中央分館・中央公民館[改修]」(山形市)、
FERMATA」(山形市)、「桜桃林の家」(河北町)、「あさひの家」(山形市)、
「譲川の家」(山形市)、「Hutte Jaren」(山形市)、「十一屋本店」(山形市)、
千代寿虎屋ファクトリーショップ」(寒河江市)
とどれも一言では説明しきれない密度の濃いものばかりです。
竣工写真も撮れていないので、それぞれ時期を見ながら来年以降撮影に入れればと
思います。

怒濤の竣工ラッシュがつづき、一時期に比べればだいぶ落ち着きましたが、引き続き
設計中・工事中の物件やこれから計画が始まるものもあるので、年末年始はとにかく
心身共にゆっくり休むことを第一にしたいと思います。

今年は新たなスタッフも加わり、熱意ある建て主さんや心強い施工者の皆さんに
支えられながら、何とか一年やりきることができました。ありがとうございます。

事務所は12月30日(土)~1月4日(木)まで年末年始休暇をいただきます。
また来年もどうぞよろしくお願いします。
今年も一年ありがとうございました。

 

 

 

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山間と湖畔

冬期休館になる前にぎりぎり見に行けました。
遠くの山並みや湖のさざ波と呼応するような、寄棟の横葺き屋根。
ついつい長居をしてしまいました。

次は夏に訪れたいです。

 

 

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敬意

事務所からすぐ近くにある旧吉池医院の内覧イベントが開かれると聞いて、
事務所スタッフ全員で見に行ってきました。

旧山形県庁舎(文翔館)の設計監修でも知られる米沢出身の建築家・中條
精一郎による設計で、築110年を誇る貴重な山形の近代建築です。

今年の初めまで医院として実際に使われてきました。向かいにある中央郵便
局に行く度に、惚れ惚れと外から眺めていた建物でしたが、初めて内部も2階
まで入ることができました。(内部写真は公開不可とのこと)

まずは内覧のお許しを出してくださったオーナーの方に感謝すると共に、
一世紀以上にわたってここを舞台に地域医療に尽力しながら、ここまで
綺麗な状態で建物を使い続けてこられた歴代の吉池先生に敬意を表します。

またこうした内覧の機会をつくっていただいた近代建築山形ミュージアム委員会
の皆さんのご苦労の甲斐あって、連日大勢の市民の方が見に来る一大関心事に
なりました。

国指定の重文である文翔館よりも古い建物で、十分にその建築的価値は認められ
ているものですが、民間所有の建物なのですべてはオーナーさん次第でもあります。
敷地は市中心部の国道に面した一等地、両隣はコインパーキングと個人住宅に
挟まれていて、いつマンション等の再開発の波にさらされてもおかしくありません。

これまで現役の医院建築として続いてきましたが、今後はそれに代わる機能そして
事業が入ることで活かされ続けていってほしいと思います。
医院→雑貨店への用途変更で建物が続いた事例として「まちの雑貨屋」、
築100年超の古民家→ホテルに用途変更して建物を活用した事例として「NIPPONIA白鷹 源内邸」、
等々、建物の価値をそのまま活かしながら新たな用途で使っていくことと、しっかり
事業的にも採算をとって維持していくことはできるはずです。

ぜひ山形の貴重な近代建築遺産の活用事例として積極的に使われていくことを
期待したいと思います。(シェアオフィスとしてうちが借りたいくらいです)

 

 

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