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ピロティ

|馬街道の家|

構造打合せや建て主さんとの仕上げ確認などがあり、長井の現場へ。
木工事が進んでいます。左手はインナーガレージ。

長井は雪だけでなく西山からの風も強い場所なので、格子で囲われた大きなピロティが
玄関前に広がります。格子越しに隣地の畑の緑が見えます。

主階となる2階は少しずつサッシも嵌められています。
雪を落とさないように緩勾配の屋根にしています。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

楯山と家

|楯岡東沢の家|

村山市の現場は、外壁に張る屋久島地杉の板が運び込まれています。
両面に防護塗料のウッドロングエコが塗られていて、グレー色になっています。

2階は屋根なりに天井が高く、一段高いフロアに子どもたちのベッドスペースを
設けています。その床下には大きな収納スペース。
左手の窓際にはカウンターデスクが造り付けられます。

今回の屋根材とサッシ外観色はだいぶシックな色にしました。
外壁の板材とも相性が良さそうです。

大らかな大屋根が、向こうに見える楯山ともつながります。

 

 

[ 東北|山形|一級建築士事務所|井上貴詞建築設計事務所 ]

worksを更新しました(図書館中央分館・中央公民館)

昨年竣工した3事例について、ウェブサイトのworksを更新しました。
「山形市立図書館中央分館・中央公民館リニューアル」は、山形市七日町の官民複合
ビルに入居する図書館と公民館(学習スペース)の改修です。

改修前の図書館中央分館は、フロアの奥にあって存在感が薄く、蛍光灯もまばらで
暗い印象で、床もツヤのあるPタイルが冷たく硬い施設の感じを強くしていました。

ガラスのショーケースに山形市の伝統工芸品を納めただけの展示コーナーも昭和の
古めかしさを留めていて、何より施設イメージの一新が求められました。

改修前の学習スペースは、事務室前に長机を並べて既存の展示壁で区切っただけの
閉ざされた印象で、学習形態の幅が非常に限られていました。

個人学習だけでなく、友人との教え合いやグループでの共同学習、団体でのワーク
ショップなど、幅広く多様な学びの居場所を用意し、選択肢の幅を広げることを目指しました。

七日町大通りに面する、官民複合ビル「アズ七日町」。1~3階までが民間の商業テナント
が入り、4階から上が山形市中央公民館となり、図書館やホールなどが入ります。

アズ七日町からまっすぐ東にのびる道路は、「七日町一番街」。古くは山形と仙台を結ぶ
笹谷街道の起終地点だった場所です。一番街から見上げると、今回改修した4、5階の
窓辺のガラスがわかります。

街ゆく人に、5階に図書館があるのを少しでも気づいてもらうため、返却用のブック
ポストを兼ねた立体サインを軒下空間に配置しました。

ポストに描かれた怪しげな緑の生き物は、本自体が人に寄り添ってくるような関係性を
表現したキャラクターで、館内にさまざまな表情をして点在しています。

5階まではエスカレーターを乗り継ぐか、エレベーターで上がってくることもできますが、
下階から上がってきたときにパッと顔を上げると、東の空が広がります。

5階のメインフロアは床一面を濃藍色のカーペットで敷き詰めました。歩行感が優しく
なり、足音も響かずゆったりと館内を歩いて回れます。

伝統工芸品のショーケースは取りやめ、代わりに一人掛けのソファを多く配置して
ブラウジングコーナーとしてゆっくり読めるスペースをつくりました。

以前は奥にあってアクセス性と視認性の低かったカウンターを、書架入り口近くに移し、
管理シャッターの手前には可動式の展示書架を配置できるようにしました。

書架はなるべく既存のものを再利用し、置く向きを90度変えることで、書架スペース
の奥まで視線が通りわかりやすい構成に修正しました。

天井周りは極力いじらず、工事費を抑えながら、間接照明やペンダント照明を増やす
ことで可能な限り明るく温かみのある空間にしていきました。

限られたスペースの中で、改修前には無かった書架脇のスツールを点在させ、ちょっと
腰を下ろすスペースやその場で閲覧できる場所を設けました。

西側の窓も開放すれば、東西に光が抜ける形にもなり、これまでのイメージとはまったく
変わるようになりました。目線に近い位置のスタンドライトの灯りも、落ち着きを
与えてくれます。

市役所の方のアイディアで、マンガの1巻目だけを置く本棚も設置。
続きを読みたい人は、すぐ近くにある街なかの書店に行きたくなります。

蔵王連峰が望める東の窓辺には、長いカウンター席を設置しました。
ブックラウンジの一角でもあり、ゆっくり図書館の本を読む人や、パソコンを開いて
作業する人など、思い思いに過ごせる居場所となっています。

かつての遊戯室を、キッズスペースに改修。
ガラスブロックは既存のものですが、その中に温かみのある木製本棚が見えます。

以前は靴脱ぎ場が外にしかなく、土足とフラットだった遊戯室は、靴脱ぎ場を室内に設け
一段高くすることでゴロゴロ子どもたちが寝転びながら本を読んだり、読み聞かせができる
カーペット敷きの部屋にしました。

切り株状の本棚の内部は、授乳スペースをなっています。

濃藍色のカーペットが、書架スペースだけでなく東側のブックラウンジにも敷かれ、
5階フロア全体が図書館の新たな空気感をつくり出しています。所々に置かれた本棚は
24ミリの構造用合板でつくった本箱を組み合わせたようなデザインとし、パーティションも
兼ねています。

このブックラウンジは書架スペースがクローズになっても使え、平日夜間は22時まで
利用できます。七日町の街を見下ろしたり、東の山々を眺めたり、それぞれが自由に
時間を過ごすことができる場所です。

東の窓辺から彼方に見えるのは、蔵王連峰の一角、雁戸山。
藍色にも見える山並みは、斎藤茂吉の歌にも詠まれています。
「蔵王より ひくき雁戸の あゐ(藍)色を しばし恋しむ 雪のはだらも」

4階のワークスペース。テーブル席にてグループワークに対応可能。
半透明のカーテンで緩やかに仕切ることで、事務所からの視線等を調整できます。

床のパーケットフローリングは既存のもの。周りが変わると同じ素材でも印象が変わります。

4階の窓辺にもカウンター席を新設。こちらは個別学習ができるスペース。
試験前ともなると、空席なくビッシリ地元の高校生たちで埋まります。

エスカレータの先に見えるギャラリーもまた、ギャラリーの貸出しがされていないときは
学習スペースとして開放されています。

4階事務室側から見たところ。手前のカーテンを開け放つと、かなり広々と見えます。
テーブル席は、何人かの仲間で集まって学習したり、知らない人同士でも共有しながら
ほどよい緊張感も生まれています。

市内の様々な学校の生徒が、部活や塾以外で、放課後に同じ空間を共有しているのは
なかなか珍しい光景だと思います。

4階へのアクセスではエレベータも多く利用されます。エレベータを降りてすぐ視線が
合わないように、階段室やエレベーターホールとの間にもカーテンが回ります。

日中は子供連れや学生などの利用が多いですが、夕方になるにつれ学校帰りの中高生の
姿が多く見られるようになります。リニューアルによってここまで使われるように
なるのは関係者も嬉しい悲鳴といえます。

書架スペース以外のブラウジングコーナーやブックラウンジでは飲食が可能です。
低層階が商業フロアになっているので、お昼休みにここで休んでいる店員さんの姿も
見られます。お菓子とジュース片手に自分の世界に入っている近所の小学生も居ます。

既存の蛍光灯をLED照明に更新して、消費電力を格段に抑えつつ、暗くならないように
しています。また、人の目線に近い位置にスタンドライトの明りを置くことで、
落ち着いた印象を与えています。

ブラウジングコーナー脇にある談話室は、改修工事は行なっていませんが、周りの
環境が新しくなることで居場所として利用されるようになりました。

西側の窓辺にもカウンター席を設けていますが、季節によっては夕焼けが綺麗に
差し込んできます。通常はロールスクリーンで対応しますが、黄昏時の幻想的な
光景が印象に残ります。

館内各所にさりげなく点在しているサイン。
そこに描かれたストーリーも必見です。

 

 

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<お知らせ>住宅内覧会を開催します(東根道の家)

東根市にて新築工事をすすめていた「東根道の家」の完成にあわせ、内覧会を開催します。
敷地は神町の若木からほど近く、以前は一面果樹園だったような場所ですが、今は新興
住宅地となっているエリアです。旧東根城下に至る「東根道」沿いに、幾重もの屋根を
架けるように建てられた2階建て・約30坪ほどの、木造省エネ住宅です。

時間指定の事前申込制となります。家づくりや建築に興味のある方(建築関係者・学生も可)
はお気軽にお申し込みください。

[東根道の家 オープンハウス]
日時:2024年8月31日(土)10時~17時、9月1日(日) 10時〜15時
場所:山形県東根市板垣北通り(詳しい場所は申込時にご案内します)
(駐車場は限りがあるためなるべく乗り合いでお越しください)
申込方法:メールにて、住所、氏名、参加人数、希望日時、連絡先(電話)を明記の上、
info(アットマーク)takashiinoue.comまでお申し込み下さい。

備考:・見学時間は一組およそ30分〜1時間ほどを予定
(同時間帯に二組が重なる場合あり)
・見学時には備え付けの手袋(使い回しはしません)やスリッパを着用していただきます
・敷地内での飲食、喫煙、トイレ等の使用は不可とします
・参加者への営業等はありませんので、お気軽にお越しください

主催・設計監理:株式会社井上貴詞建築設計事務所
施工:株式会社高木

[省エネ性能]
UA値= 0.33W/㎡K
(Q値=1.22W/㎡K)
C値 = ㎠/㎡
暖房負荷:43.9kWh/㎡
屋根断熱:高性能GW16K 300mm
外壁断熱:高性能GW24K 105mm(充填)+16K 50mm(付加)
基礎断熱:PSF50mm
開口部:樹脂サッシ

お問い合わせ:株式会社井上貴詞建築設計事務所
山形県山形市小姓町1-37-2F
tel 023-665-4865
http://takashiinoue.com/

 

まだまだ暑い日はつづくかもしれませんが、
どなた様もお気軽にお越しください。

 

 

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worksを更新しました(月日坊)

昨年竣工した3事例について、ウェブサイトのworksを更新しました。
月日坊」は、山形市の瀧山の麓に建つ写真家・志鎌康平さんのスタジオです。

スタジオは、この集落に古くから残る月山神社(以前は月山堂と云った)の鳥居の前に
建ちます。月山神社の境内からは、残雪の月山がきれいに拝めます。

撮影時、たまたま近くの滝山小の子どもたちが境内に来ていて、その一人の子の
背中越しの月山がとても素敵でした。

この月山神社は何百年前からこの地にあって、集落から月山参りをする人が一定期間
籠もったり、二十三夜信仰(月待ち)など、「講」の人たちが集まる大事なコミュニティの
場となっていたようです。

「月日坊」の名付け親と字体は、志鎌さんと同じ滝山地区出身の絵本作家・荒井良二
さんによるものです。この土地から出た土を混ぜた左官仕上げの外壁の上に、真鍮の
切り文字で、エントランス前にさりげなくサインを設けています。

内部に入ると一転、抽象性の高いスタジオの空間が現れます。写真スタジオといえば
外光を嫌ったりしますが、志鎌さんからの設計時の要望は、「この土地の光を使って、
この土地ならではの写真を撮りたい」というものでした。

スタジオには東西南北それぞれに様々な開口部を持ち、射し込む日光の色や角度は
一年の中でも、一日の中でも刻々と変わり続けますが、志鎌さんはそれらを受け入れ、
これまで培ってきた撮影の技術や経験を使って、その不安定な光を写真に写し取る
作業に日々取り組んでいます。

月日坊は、東北芸術工科大学と同じ通り沿いに立地していて、建物正面を真南に向けて
います。車通りや人通りが多いこともあり、スタジオ内部が道路側から直接見えないように、
円弧状の回廊でスタジオ周りを囲っています。このことでスタジオ内部の抽象度を高める
のにも一役買っています。

敷地は、30年ほど前に芸工大前の大規模な区画整理事業が行なわれた際に、それまで
段々状の果樹畑だったものを擁壁を立てて造成されたものになります。

工事が行なわれる前は梅林として使われていましたが、今は隣の一本のみが残っています。

スタジオ北側の壁に掛けられた一枚の版画。志鎌さんと親しいイラストレーターの
平澤まりこさんのものです。月と馬の神聖さがこの場所にとても馴染んでいます。
右の窓には月山神社、左の窓には月山。

荒井良二さんが、月日坊のために描いてくださった、世界でたった一冊の絵本。
瀧山の麓で生まれ育った荒井さんだからこそ描ける、あめつちの物語です。

スタジオ内に鎮座する3つの蔵王石。
工事前の敷地に山積みされた石の中から、志鎌さんが厳選したものです。
蔵王の噴火の際に生まれた溶岩の塊の石です。

併設された小さなスタジオは、志鎌さんが「月の部屋」と呼んでいます。
この部屋には北側の開口部から安定した光が入ってきます。

モルタル塗りの壁に穿たれた窓の先には、月山神社脇の公園の緑が光ります。

スタジオ中央には、料理の撮影にも使えるカウンターキッチンが設けられています。
ヨーガン・レールなどの家具は、志鎌さんが買い集めたもの。

夕焼けに浮かぶ月山のシルエット。

スタジオ主屋と回廊の間には、人の集まれる小さな広場を抱えています。
夕方になると回廊に明かりが灯ります。

ロフト部分から見た鉄骨トラス。
撮影の背景に支障にならない高さまで持ち上げています。
見上げた際に重い印象にならないように、極力細い部材で構成しています。

太陽や月といった天体の動きに自覚的になる場所として、写真スタジオという枠を
超えて様々な取り組みを展開しています。

 

 

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鞍馬

|馬街道の家|

村山市の現場に続き、長井市で進めている新築住宅の現場も、無事上棟式を迎える
ところまで来ました。地鎮祭と同様に、地元の大河原稲荷神社さんに上棟式を
取り仕切っていただきました。

ちょうどこの日は、非常勤で教えている仙台高専の学生さん達が事務所の事例見学ツアー
で山形を回っていたので、ツアーの最後にこの上棟式にも参加してもらいました。

模型では何度も見ていますが、実際に建つと迫力があります。
真夏の晴天の中、五色の旗が悠々と風にたなびいていました。

 

 

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都市を編む

打合せもあり、久しぶりの東京。
TOTOギャラリー・間で開かれていた建築家・魚谷繁礼さんの展覧会も
見に行くことができました。ちょうど館長によるナイトツアーの時間帯で、
解説付きでじっくり堪能しました。

中庭に再現された京都の茶屋建築の架構。
今週は東京を行ったり来たりと、慌ただしい日がつづきます。

 

 

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こめやかたの餅

|楯岡東沢の家|

村山市の新築住宅は、いよいよ上棟し、屋根に五色の旗が立ちました。
夏真っ盛りの中の上棟式です。

まずは屋内で関係者だけ集まって神事を行なった後、外に出て餅撒きを行ないました。
外ではご近所や親族、会社のスタッフの方々など、割と色んな方が集まり、足場から
建て主ご一家と施工者がお餅やお菓子を撒いていきます。

夏休み中のお子さん達にとっても、良い思い出になったのではないでしょうか。
無事上棟を迎え、しばらく木工事が続いていきます。

 

 

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