
先日受賞したJIA東北住宅大賞2018の表彰式が仙台市で開かれ、建て主さんや
施工者さんと一緒に出席してきました。このような栄えある賞をいただき、
お施主さんとともにその喜びを共有できることは本当に幸せなことだと思います。
公開された審査講評の文章を抜粋すると、
「その中で今年は旅籠の改修が審査員一致して大賞となりました。この仕事は、
改修、新築を超えてプロジェクトの総体が素晴らしく、色々な意味でこの時代の
成果、一つの指標になりうると思います。」
「今回、150年前に建てられた旅籠を改修した『湯守の旅籠』が大賞を受賞した。
設計者の井上貴詞氏は、地域に根ざす建築設計における基本である、施主と地域と
歴史への応答をしっかりと身につけている建築家だと強く感じることができた。
すなわち、施主の要望である旅籠であった痕跡を、地域を巻き込みながら丁寧に
掘り起こし、現代的な生活に適合させていることに成功している。夏と冬の生活の
中心をそれぞれ旅籠部分と蔵座敷部分にした空間は、畳や建具の一部を取り替えた
だけで、基本的にはその様相は変わっていない。とかくリノベーションといえば
オリジナルの良さを無視するかのように劇的に変化させるものが多い中で、この作
品は一見どこが変わったのかわからないのである。旅籠と蔵座敷をつなぐ部分には、
キッチン、ダイニング、リビングを配し、そこに2階の床の一部を内部の明かり取り
にすることで柔らかな光が落ちている。これらの三つの空間によって、季節や時間帯
に応じてオリジナルの建物の特徴と新しい生活の融合が生まれている。この作品が、
周りにある同様の歴史的建造物への使い方の指針になっていくことを期待したい。」

表彰式と審査講評の後、大賞受賞者による記念挨拶ということで、「湯守の旅籠」
についての話をさせていただきました。
事務所としてもまもなく5周年を迎える節目の年に、このような賞をいただけるのは
今後の励みにもなります。審査員の先生方、関係者の皆さま、そして何よりこの
機会を与えてくださった建て主ご夫妻に深く感謝したいと思います。
今回の受賞を糧にして、また粛々と日々の設計に取り組んでいく所存です。

第12回JIA(日本建築家協会)東北住宅大賞2018 最終審査結果
(記載順 賞名、タイトル、<作品所在県>
設計者名(敬称略)、事務所名)
大 賞 湯守の旅籠 <山形>
井上貴詞 井上貴詞建築設計事務所
優秀賞 散歩道の家 <福島>
佐久間宏一 (株)エア コーポレーション
優秀賞 下北の自然な家 <青森>
松浦良博 松浦一級建築設計事務所
優秀賞 郡山の家 <宮城>
佐藤充 一級建築士事務所 SATO+
奨励賞 YKSG <秋田>
渡辺恭兵 (株)建築工房DADA
奨励賞 桜屋敷の家 <岩手>
福士譲・福士美奈子 フクシアンドフクシ建築事務所
奨励賞 潮見第 <岩手>
神田順・西一治 建築設計事務所 アトリエ71
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<審査員>(敬称略)
審査員長 飯田 善彦( 飯田善彦建築工房代表・建築家 )
審査員 渡邉 研司( 東海大学工学部建築学科教授・建築史家 )
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