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事務所ウェブサイトのworksに、今春完成・開業した古民家ホテル「NIPPONIA白鷹
源内邸」を追加しました。ここは施設名にもなっている通り、江戸時代後期から
つづいた白鷹・浅立の豪農・奥山源内邸の旧家屋をリノベーションしたものです。
2000坪の敷地内に、7棟の木造建屋や蔵が点在していて、その多くは大正初期に
建てられたもので築100年ほどの歴史があります。うち5棟を客室・フロント棟として
改修し、計8つの客室をつくっています。また別に1棟はレストラン棟として改修しています。
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屋敷林を有する敷地も広大ですが、その周囲も水田地帯に囲まれ、この近くの飯豊町や
長井市に見られる散居集落の景観を成しています。
かつてはこの一帯が奥山家の管理する土地だったのでしょう。
近くの浅立地区を歩くと、代々の奥山源内の功績を石碑や奉燈などによって今でも
かろうじて知ることができます。
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敷地内の各建物はかなりの距離を取って建てられているので、宿泊者はゆったりと
敷地内の庭を散策することが可能です。庭には奥山家が愛でてきた庭木が数多く
見られます。およそ100年前ニューヨークから運んできたと伝わる木蓮の木や、
珍しい紅葉の木々、立派な樅の木、榧の木など、旧家ならではの味わいがあります。
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今回のリノベーションの大きな特徴として、元は住居だったものをホテルという
特殊建築物に用途変更するところにあります。それによって遡及される建築基準法や
消防法に対応した造り・設備にしなければなりません。「NIPPONIA」を冠する
古民家活用事例(特に宿泊施設)は西日本を中心に全国各地で展開・実施されていて、
できる限り往時の風情を残した改修であり、そのノウハウは今回のプロジェクトにも
大いに活かされています。
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源内邸の敷地には計5棟の蔵が残されていました。
うち4棟(座敷蔵、米蔵、武具蔵、荷蔵)は客室棟に、1棟(味噌蔵)はレストランに
改修しました。分厚い土壁で覆われた蔵は、一般的な木造家屋よりも断熱性や保温性に
優れているので、客室には向いているかも知れないですね。
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「きものリトリートホテル」をテーマにした施設なので、染料や織物に関する
モチーフで客室名も決められました。8室ある客室はすべて「紅」の字が
入っています。ちなみに白鷹町は紅花生産量が日本一と云われています。
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ここは温泉の出る場所ではないのですが、すべての客室にはヒノキの浴槽を
入れています。浴室の内部も壁天井はすべてヒノキ板です。
古民家ですが、すべての客室に浴室・洗面所・トイレを設置しています。
元々給排水を引いていない蔵などに配管するのは一苦労ですが、そういった水回りが
入ることで建物が生き生きとしてきます。
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ベッドルームの大きさや意匠は部屋ごとに全く異なりますが、どの部屋も古民家の
立派な梁や垂木を感じられる場所にあります。
ベッドは通常の高級ホテルでも愛用されている快適なものになっています。
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白鷹町は県内でもわずかとなった手漉き和紙の生産地でもあります。
地元でつくられた深山和紙を客室の障子に使ったり、ルームライトに活用したりしています。
ほんのりと生地がかった和紙の表情が柔らかく室内を照らします。
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宿泊時の食事はすべてダイニングである「纏(まとい)」にて提供されます。
ここは築120年ほどの味噌蔵だった場所です。
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ダイニングはテーブル席のほか、カウンター席もいくつか取られています。
ここではフレンチのシェフによるローカルガストロノミーを味わうことができます。
蔵の中に客席と厨房を入れ込んでいます。
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まわりの浅立地区は昔ながらの住宅が集落を築いていますが、夜は星空に包まれて
とても静かな環境の中にあることを実感します。
ゆっくりとした時間を、歴史の刻まれた建物の中で過ごすことができます。
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施工:那須建設株式会社
詳しくは、事務所ウェブサイトworksをご覧ください。
NIPPONIA白鷹 源内邸 | 井上貴詞建築設計事務所 (takashiinoue.com)
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